タバコによる害

タバコはさまざまな病気の原因に骨粗しょう症

骨粗しょう症 ― タバコが骨折リスクに影響します

骨粗しょう症は、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気で、女性に多く、年をとるほど患者さんの数は多くなります1)。骨粗しょう症で折れやすい骨は、背骨、脚の付け根、手首、腕の付け根ですが、骨折・転倒は要介護となる原因の第4位です2)

骨粗しょう症に関する骨折(骨粗鬆症性骨折)のリスクとなるのは、骨の強度の目安となる骨密度の低下、骨折の経験、過度の飲酒、ステロイド薬の使用、カルシウムの摂取量不足などありますが、タバコも骨粗しょう症のリスクになるといわれています3)
タバコを吸う人の骨密度は低下しているといわれており、女性では閉経後の骨密度が吸わない人に比べて低下していました4)

タバコを吸う人では、骨折のリスクが吸わない人の1.84倍近くになります5)。しかし、禁煙した人の骨折のリスクは、吸わない人の1.38倍程度、特に男性では1.11倍程度になるといわれています5)
骨粗しょう症による骨折を防ぐためにも、禁煙を考えてみてはいかがでしょうか。

禁煙による骨折リスクの低下(海外データ)

禁煙による骨折リスクの低下の図
対象:
コホート研究10試験に参加した平均年齢62.8歳の一般住民59,232人(非喫煙30%、喫煙中18%、禁煙中52%)
方法:
上記10試験の結果について、性別ごとに年齢・追跡期間を共変量としたポアソン回帰により相対的骨折リスクを求め、その結果について分散による加重平均から、男女別の相対リスクと、全体の相対リスクを推定した。
Kanis, JA. et al.: Osteoporos Int 16(2):155, 2005 より作図

1) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会:"第Ⅰ章 骨粗鬆症の定義・疫学および
成因" 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版:1, 2015
2) 内閣府:"2 健康・福祉" 平成30年版高齢社会白書(全体版):27, 2018
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/zenbun/pdf/1s2s_02_01.pdf 2022/7/6参照
3) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会:"第Ⅲ章 骨粗鬆症による骨折の危険因
子とその評価" 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版:39, 2015
4) Ward, K. D. et al. : Calcif Tissue Int 68(5) : 259, 2001
5) Kanis, JA. et al.: Osteoporos Int 16(2) : 155, 2005