STEP1禁煙するとどうなる?

なぜ、タバコがやめられない?

やめたい人は多いけど…。 禁煙を続けるのは難しい

米国の喫煙者のうち、禁煙に成功した割合(海外データ)

米国の喫煙者のうち、禁煙に成功した割合
  • ※2009年に禁煙を始めており、2010年に行った調査の前の少なくとも6ヶ月間は喫煙していない人
対象・方法:
27,157人を対象とした2010年の米国健康面接調査より18歳以上の喫煙者の禁煙状況について分析した。
Centers for Disease Control and Prevention : MMWR Morb Mortal Wkly Rep 60(44) : 1513, 2011 [L20120827022]より作図

「タバコをやめようかな……」とも思うけど、「禁煙なんていつでもできる」と楽観していませんか? 現在、タバコを吸っている人のうち、およそ3人に1人が「タバコをやめたい」と思っています1)。ところが、タバコを吸う人の割合は、ここ数年横ばいです1)。つまり、タバコをやめたいとは思っていても、禁煙に成功している人は多くないということです。外国の調査でも、禁煙に挑戦して6ヶ月以上続いた人は、わずか1割ほどです。

禁煙を続けるのは、あなたが思っている以上に難しいのです。

  1. 厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室:平成30年国民健康・栄養調査結果の概要
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/h30-houkoku_00001.html 2020/8/4参照

タバコがやめられないのは、ニコチン依存性が原因!

では、「今度こそ絶対にタバコをやめる!」と決意しながら、なぜついまた吸ってしまうのでしょうか? 自分の意志が弱いからでしょうか? いいえ、実はニコチンのもつ依存性が原因なのです。

どのようにしてニコチン依存症になるのでしょうか。

タバコを吸うと、ニコチンは脳にあるニコチン受容体に結合します。すると、快感を生じさせる物質(ドパミン)が大量に放出され、喫煙者は快感を味わうことができます。これが、「タバコを吸うと落ち着く」「ホッとする」といった効用が得られるしくみです。しかし、30分もすると体内のニコチンが切れて、反対にイライラする、落ち着かないなどの離脱症状(禁断症状)があらわれます。そして、その離脱症状を解消するために、またタバコを吸うようになり、そうしてニコチン依存症になっていきます。

こうなると、タバコをやめたいと思っても、やめるのが困難になります。ニコチン依存症から抜け出すのは、ヘロインやコカインをやめるのと同じくらい難しいといわれています。禁煙が難しいのは、ニコチン依存症によるものですから、自分の意志の力だけで乗り越えられないのも当然といえるでしょう。

喫煙の健康影響に関する検討会編:喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書:平成28年8月
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000172687.pdf 2020/8/4参照

ニコチン依存症に至るまで

1

脳には、ニコチンが結合すると快感が生じる受容体があります。α4β2ニコチン受容体といいます。

2

タバコを吸うと、ニコチンが肺から血中に入り、すぐに脳に達します。

3

ニコチンがα4β2ニコチン受容体に結合すると、快感を生じさせる物質(ドパミン)が放出されます。

4

ドパミンが放出されると快感が生じます。さらに、もう一度タバコを吸いたくなります。

5

(2)~(4)を繰り返すうちに現れる、イライラなどの離脱症状(禁断症状)を避けるため、喫煙をやめられなくなります。

ニコチン依存症

Rollema, H. et al.: Trends Pharmacol Sci 28(7): 316, 2007[L20070717020]より作図
こんな症状が離脱症状(禁断症状)
  • とてもタバコが吸いたい

  • 落ち着かない

  • 気分が落ち込む

  • 食欲が増す

  • イライラ・欲求不満・怒りのいずれかを感じる

  • 寝つきが悪い

  • 不安を感じる

  • 眠っても途中で目が覚める

  • 集中できない

大石 剛子ほか:薬理と治療 33(2):141, 2005

軽いタバコでも中身は同じ

タバコの空気穴

軽いタバコは空気穴が多い 吸うときには指や唇でふさがってしまう
平間敬文:子供たちにタバコの真実を-37万人の禁煙教育から かもがわ出版:59, 2002
より一部改変

低タール・低ニコチンの、いわゆる“軽いタバコ”が人気のようです。そうした人は、軽いタバコであれば、健康被害は少ないと思い込んでいるのかもしれません。

そもそも、タバコのパッケージに表示されているニコチンやタールの数値は、タバコ1本の含有量ではありません。タール・ニコチンのmg表記に関わらず、中に入っているタバコは全く同じです。では数値の違い何なのか?それは器械によって一定量喫煙したときの煙を分析した数値なのです。フィルター部分に空気穴を多くしたり、空気を通す巻紙を使うなどして、吸い込むニコチンやタールの量を薄めているので、測定値が低くなるのです。しかし、実際にはタバコを吸うときに、指で空気穴をふさいでしまっているので、ふつうのタバコを吸っているのと何らかわりません。また、“軽いタバコ”を吸うときは、無意識のうちに、深く吸ったり、タバコを根元まで吸ったりする傾向があるようです。やはり、ふつうのタバコを吸っているのと同じですね。

健康が気になるなら、軽いタバコにするのではなく、思い切ってタバコと縁を切ることを考えてみましょう。

平間敬文:子供たちにタバコの真実を-37万人の禁煙教育から かもがわ出版:59, 2002