タバコによる害

タバコはさまざまな病気の原因に肺がん

肺がん ― タバコで発症リスクが高まります

さまざまながんの中でも、肺がんは日本人男性のがんの部位別死亡率の第1位です1)。その肺がんは、喫煙によって発症リスクが高まることがわかっており、タバコを吸う人は吸わない人に比べて、男性では肺がん全体で約4.4倍、女性では肺がん全体で約2.8倍リスクが高まるといわれています2)

しかしタバコをやめれば、そのまま吸い続けた場合よりも肺がんのリスクは低下するとの報告があります3)。さらに、肺がんによる死亡リスクも、タバコを吸わない人を1とした場合、タバコを吸う人は4.71倍ですが、タバコをやめて4年未満で3.99倍、10〜14年で1.87倍となり、15年以上禁煙を継続することで、タバコを吸わない人とほぼ同じくらいまで死亡リスクが低下するとの報告がありました3)。たとえ60歳代でタバコをやめても肺がんによる死亡リスクは低下するといわれており、禁煙に遅すぎるということはないといえるでしょう3)

禁煙による肺がんによる死亡リスクの低下

喫煙者は非喫煙者の4.71倍 禁煙開始後0〜4年で非喫煙者の3.99倍、禁煙開始後10〜14年で非喫煙者の1.87倍、禁煙開始後25年以上で非喫煙者の0.67倍
対象:
40~89歳の日本人男性110,002例
方法:
大規模な3コホート研究についてメタアナリシスを実施し(平均追跡期間8.5年)、非喫煙者に対する、過去喫煙者(禁煙者)および喫煙者の肺がんによる死亡リスクについて比較検討を行った。過去喫煙者においては、調査開始時点における禁煙後の経過年数別による死亡リスクも解析に含めた。リスク比の95%信頼区間はポアソン回帰を用いて求めた。なお、ポアソン回帰において、調査開始時の年齢(開始時に80歳以上の者は除外)と、喫煙者・禁煙者の喫煙開始年齢(調査対象:18~22歳時に喫煙を開始した者)を用いて調整した。
Wakai, K. et al. : Cancer Sci 98(4) : 584, 2007より作図

1) 厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当):平成30年我が国の人口動態
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/81-1a2.pdf 2022/07/06 参照
2) Wakai, K. et al. : Jpn J Clin Oncol36(5) : 309, 2006
3) Wakai, K. et al. : Cancer Sci 98(4) : 584, 2007