タバコによる害

タバコはさまざまな病気の原因にバセドウ病

バセドウ病 ― タバコによるバセドウ病眼症のリスクは4倍以上

甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、全身の代謝を高める作用があります。バセドウ病は、甲状腺が腫れて、甲状腺ホルモン量の分泌が過剰になり、脈が速くなったり、眼球が突出する病気であり、女性に多くみられます。

バセドウ病を発症する原因は、遺伝的要因と環境因子があります。その環境因子の1つとして、タバコがあります。タバコを吸っていると、バセドウ病のリスクが約3倍に高まるとの報告があります。ただし、タバコがバセドウ病の発症にどのように関わっているのか、その発症機序についてはまだ解明されていません。

バセドウ病の症状の1つにバセドウ病眼症(甲状腺眼症)があります。バセドウ病眼症は眼の筋肉や脂肪組織、涙腺に炎症が起こり、眼球が突出したり、まぶたが腫れたり、視力が低下するなど、さまざまな症状があらわれます。タバコを吸っていると、バセドウ病眼症になるリスクが4倍以上になるとの報告があります。バセドウ病眼症は、悪化すると日常生活に大きな支障が出るだけでなく、美容的な問題も抱えます。女性にとってはつらい症状です。しかし、禁煙を続けることで、バセドウ病のリスクが、タバコを吸わない人と同程度にまで低くなるとの報告があります。

Vestegaard, P. et al.: Eur J Endocrinol 146 (2): 153, 2002

バセドウ病のリスク、喫煙者は非喫煙者の何倍?(海外データ)

非喫煙者に比べ、バセドウ病の発症リスク3.3倍!! バセドウ病眼症の発症リスク4.4倍!!
Vestergaard, P. et al. : Eur J Endocrinol 146(2) : 153, 2002より作図
対象・方法:MEDLINEより抽出された喫煙と甲状腺疾患の関係についての25の文献を調査した。